フカヒレだけではない、おいしいサメのすすめ
サメを食べたこと、ありますか?
サメの食し方として、真っ先に思い浮かべるのがフカヒレではないでしょうか? 「フカ」はサメを指し、フカヒレは「サメのヒレ」という意味です。
サメのヒレを素干しにしたフカヒレは、煮物やスープなど中華料理で馴染みのある食材です。
意外や意外、日本は世界有数のフカヒレの生産国。フカヒレの原料であるサメは日本近海で漁業が行われているのです。
しかしサメは、フカヒレの他にも様々なものに使われています。
今回は知られざるサメの利用方法についてみていきましょう。あなたはいくつ挙げられますか?
気仙沼を中心に漁獲されるサメ
日本のサメ・エイ類の漁獲量は近年、2万から4万トンの範囲で推移しています。サメの漁獲量のうち80から90パーセントを占めるのが、はえ縄による漁獲です。はえ縄漁は、マグロなどの漁法としても有名です。はえ縄による外洋性サメ類の漁獲量は2000年代に入って2万トン台を超え、2005年以降はほぼ3万トンを上回っています。
漁獲される外洋性サメ類の大半は、ヨシキリザメやネズミザメ、アオザメが占めています。とりわけ、フカヒレやサメ肉などに使用されるのがヨシキリザメやネズミザメ。北太平洋からオホーツク海に分布するネズミザメは、漁獲の多い東北地方ではモウカザメとも呼ばれます。ちょうど宮城県三陸沖の気仙沼が漁業基地になっており、全体シェアの約9割にも及びます。現地の漁港では、肉やフカヒレだけでなく「モウカの星」と呼ばれるサメの心臓までもが販売されているそうです。
多岐にわたるサメの食べ方
サメの肉は、はんぺんやかまぼこなどの原料の他、ソテー、フライ、刺身など様々な料理に使われます。
例えば、ネズミザメの肉に塩コショウを塗してバターで炒めたソテーは、サメとは思えない柔らかい肉質が特徴的です。広島県の山間部、三次(みよし)や庄原などの備北地区では、サメ料理は「ワニ料理」と呼ばれ、昔ながらの郷土料理として親しまれました。地元では、刺身や湯引きした「ワニ」が食されています。
ちなみに有名ないなばの白うさぎに登場するワニはサメのこととも言われています。
サメは栄養価も高く、DHAやコンドロイチン、グルコサミンやコラーゲンなどを含みます。サメの肝臓から抽出した肝油はドロップの材料として用いられ、食糧難の時代に子どもたちのビタミンA不足を補いました。この肝油ドロップは、今でも日本はもちろん海外にも輸出されています。
サメは軟骨魚類という体の骨の多くが軟骨でできている魚です。背骨や歯などは硬くなることがありますが、骨格のほとんどは軟骨でできています。
またサメ軟骨にはコンドロイチンが含まれています。フカヒレスープなどでみかける軟骨周りのプルプルした物質で、コラーゲンと結びついて肌のみずみずしさを保つのに役立つとされています。
鮫皮(さめがわ)おろしとは
サメやエイの背皮で作られる鮫皮は、皮歯(ひし)と呼ばれる粒の配列が特徴的。生わさびをサメ皮のおろし板でおろすと、香り高く、まろやかな風味になると言われています。
また、鮫皮は伝統工芸品にも使用されています。その歴史は古く、正倉院には8世紀作の鮫皮の装飾が施された刀が眠っています。その他にはヤスリ等に使われています。
世界には約500種類のサメがいるといわれています。
サメは胎生(たいせい)といって、母ザメが卵ではなく、そのまま子ザメを出産する種類も少なくないので、短い期間で大量に増える魚ではないのです。これからもサメの数が減らないように資源を守り、美味しく食べ、活用していきたいですね。
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