青魚を冷凍する新技術「熟成塩たれ」とは? 銚子の新名物、取れたてよりおいしい刺し身に
地元の廃棄物、カキ殻を有効活用
熟成塩たれによって冷凍・解凍され「お造り」に調理されたイワシ
イワシやサバ、アジといったいわゆる「青魚」を、いつでも取れたてのような刺し身で食べられるようにした冷凍技術が、千葉県銚子市で広がっている。市内をはじめとした飲食店には、東京や他県からの来客も多く、新たな銚子の名物になっている。 【写真】銚子漁港での青魚の水揚げ風景 魚の刺し身は、新鮮なうちにさばいて食べるのが一般的。いったん冷凍すると、解凍する際にうまみを含んだ水分が溶け出てしまい、食感も落ちてしまうことが多い。特にイワシなどの青魚は、足が早いからなおさらだ。 新たな技術を開発したのは、銚子市に隣接する千葉県旭市で銚子港の魚を使った料理店と宿泊施設「カントリーハウス海辺里」を経営する渡辺義美さん(76)。地元で取れる岩ガキの殻を有効利用できないか、というのが技術開発のきっかけだったという。 渡辺さんは、岩ガキの殻を1400度という高温で焼いてできた粉末を水に溶かし、塩やタマネギ、ショウガなどの香味野菜と混ぜた「熟成塩たれ」を完成させた。このたれに魚の鮮度落ちや特有の臭みを抑える効果が認められ、2009年に特許を取得した。 水揚げ直後に3枚下ろしにした青魚、例えばイワシなら6分、サバなら8分たれに漬けてから水気を取って真空パックし、マイナス60度で冷凍すると、解凍後もおいしさが保てるのだという。冷凍しているため「寄生虫のアニサキスの心配もないほか、マグロやカツオなどにも使える」(渡辺さん)と話す。
日本一の漁港に新たな名物を
「熟成塩たれ」が入ったかめ(左)と加工技術を開発した渡辺義美さん
渡辺さんは自身の店で、熟成塩たれを使った刺し身料理を数多く提供している。イワシやサバ、アジのほか、フグやアンコウなど、銚子で取れたてを入手してさばき、しっかりパックして冷凍庫で保存。「1年くらいはおいしく食べられる」(同)のだという。 渡辺さんはかつて「このたれを使って銚子の名物を作ろう」と、料理店や観光業者らでつくる任意団体「うめぇもん研究会」に参加する店にもたれを提供。それぞれの店が自慢の魚料理をPRしながら、リピーターを増やしてきた。 全国的にも名が通った銚子港は、日本有数の水揚げ基地。イワシやサバ、アジのほか、マグロやカツオ、キンメダイなど数多くの魚が揚がる。総水揚げ量は昨年まで10年連続日本一だが「銚子といえば…」といった名物が意外と少ないのも悩みの種だった。 同研究会の会長を務め、ホテル内の和食店「廣半」も手掛ける銚子プラザホテルの大木及夫恵専務によると「冷凍する魚にたれを使うと、うま味が保てるほか臭みも少ない」といい、「取れたての魚を刺し身にした時よりもおいしく感じることがある」とアピールする。
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