ファーストクラスは“中国産”
(上海支局長 柳原章人/テヘラン支局長 戸川武)
“世界の3分の1”を生産 中国東部の巨大拠点
1年間にとれるキャビアは100トンと、世界で取り引きされる量の実に3分の1にあたるといいます。
当初、大量のチョウザメが死ぬなど失敗も続きましたが、試行錯誤を重ねて、今では数十万匹を養殖しています。
その後、陸地に作った生けすに移し、チョウザメに適した水温や水流に調節した環境でキャビアを作っているといいます。
消えた天然キャビア 養殖の時代に
とりわけ有名な産地はカスピ海で、沿岸のロシアやイランがチョウザメを捕獲し、キャビアを世界各地に出荷していました。
ところが、1990年代以降、乱獲や環境汚染などの影響でチョウザメが激減。2010年からはカスピ海でのチョウザメの漁が禁止されたのです。
天然のチョウザメが減少するのに伴って、次第に世界各地でチョウザメの養殖が拡大。環境保護団体のWWF=世界自然保護基金によれば、2000年代初めは世界で取り引きされるキャビアの大半が天然のものでしたが、最近では90%以上が養殖のものになっています。
かつての主要産地は
「競争相手の中国は大量にキャビアを生産している。同じやり方では勝てないよ」
世界市場で1%余りしか出回っていないとされる最高級のキャビアがとれる「ベルーガ」というオオチョウザメに限定して養殖にとりかかっています。
バハシャイさんは、かつてのベルーガの生息域と同じ環境を作り出そうと、みずからの養殖施設にカスピ海からわざわざ水を引きこんでいます。
「高級で質のよいキャビアを生産し世界と戦う。再びイランのキャビアを世界市場で有名にしたい」
ヨーロッパの空の旅を中国産キャビアが彩る
この秋、北京の五つ星ホテルで開かれたキャビアの試食会。外資系ホテルの幹部やレストランのシェフなどが舌鼓を打っていたのは、中国産のキャビアです。
上述の「千島湖」で養殖を手がける会社は、品質の向上のため研究を重ね、中国人だけでなく海外の人からも高く評価されるようになってきているといいます。
ミシュランの星を獲得しているパリのレストランや、ドイツの大手航空会社のファーストクラスでも、この会社のキャビアを採用。ヨーロッパの空の旅を、遠くはるばる中国の湖で養殖されたキャビアが彩るようになっているのです。
イメージ変え 一般家庭にも
今では海外からの視察も積極的に受け入れ、実際に試食してもらうことでイメージを少しずつ変えられていると自信を深めています。
今後の目標は、ぜいたく品の代表格であるキャビアを世界中の一般家庭に届けていくことだと話しています。
一方、チョウザメの種類によって、100グラム1万2000円余りと価格を抑えたものも用意。すでに、日本も含めて30以上の国や地域に輸出しているということです。
手が届く価格に?
日本でも宮崎県や岡山県などでチョウザメの養殖が行われ、キャビアが生産されています。
世界的に養殖が拡大し、生産量が増加すれば、価格が下がるという指摘もあります。
手が届くような価格のキャビアを見かける日が来たら、その生産現場にも思いをはせてみるのもよいかもしれません。
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