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ウナギ稚魚の人工安定生産に成功 23年までに年1万尾へ 新日本科学
ニホンウナギの人工種苗の大量生産を目指して研究する新日本科学(本社・東京都中央区、本店・鹿児島市、永田良一会長兼社長)は、実証研究の拠点施設である鹿児島県和泊町の沖永良部島事業所で天然海水による稚魚(シラスウナギ)の人工生産に成功した。
研究開発に取り組む同社指宿事業所では既に成功していたが、大量生産事業の拠点施設である同島の事業所では初めて。安定的に生産できる環境構築にめどが立ったとして、2023年までに年間で稚魚1万尾の生産体制確立を目指す。
同社は14年から人工種苗の研究開発に取り組んでおり、17年11月には世界で初めて閉鎖循環システムを用いたシラスウナギの生産に成功。海水温が高く、水質が安定した場所として亜熱帯海域である沖永良部島に着目し、19年10月に同島に事業所を開設して研究を進めてきた。
同事業所は天然海水による稚魚の大量生産を目指す実証研究施設。親ウナギから採取した卵と精子を人工授精させ、今年3月ごろふ化した。飼育期間が180日に達した今月、体長5センチ程度に育った仔魚が稚魚への変態に成功した。
現在、ふ化した仔魚から稚魚になるまでの生残率は1%未満。同社によると、他の魚種と比べて飼育期間が半年と長い上、仔魚は自分で積極的に餌を食べないこともあることから飼育期間中に死亡する個体が多いという。
大量生産に向けての当面の目標は生残率5%だ。餌の種類やタイミング、水槽の形などを研究して生残率向上を図る。永田会長兼社長は「事業化に向けた研究へステップアップできる。将来は規模を拡大し、島の雇用創出に役立てたら」とした。 [みなと新聞2020年9月17日付の記事を再構成]
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