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世界最高額500万円のカニはどこへ行った
500万円落札の理由は…
今月7日に鳥取市の鳥取港で開かれたズワイガニの初競り。五輝星の松葉ガニ1匹に500万円の値がつくと、場内がどよめいた。
鳥取県が平成27年に認定を始めた「五輝星」。認定の基準は、甲幅が13・5センチ以上▽重さ1・2キログラム以上▽鮮やかな色合い-など5つ。昨年これらの基準を満たしたのは101匹で総水揚げ量のわずか0・02%だった。27年に最高70万円の値がつくと、翌年は130万円に高騰。29年は鳥取港の初競りでの水揚げがなかったものの昨年は200万円で落札されていた。
「500万円のカニ」は甲羅の幅14・6センチ、重さ1・24キロ。落札したのは、鳥取市の仲買業者「かねまさ・浜下商店」で、同社直営店で2日間展示した後、今月4日に開店したばかりの割烹(かっぽう)料理店「銀座結絆(ゆいな)」(東京都中央区銀座7丁目)に卸された。
店主の小林和紀さんによると、「仕事でお世話になった人に五輝星のカニでお礼をしたい」との注文が入り、「かねまさ・浜下商店」に落札を依頼したという。
500万円のカニは入荷した9日の夜に出された。食べたのは経営者の男性2人。松葉ガニを使ったコースメニューは通常3万円だが、この日は別の五輝星のカニと合わせ、800万円のフルコースとして提供した。
メニューは刺し身や焼きガニ、天ぷら、しゃぶしゃぶ、雑炊、炊き込みご飯など。客の目の前でさばいて出した小林さんは、500万円のカニについて「身詰まりが良く、身に弾力や張りがあった」とし、客2人も「ほぐしたときの身の量が普通のカニの倍だった」と話していたという。
小林さんは「料理人冥利に尽きる。人生で一度しかない経験ができた」と振り返る。
寿命も「記録級」
「世界一からは陥落したが、現役では一番高価な五輝星になる」。こう話すのは鳥取市の水族館「とっとり賀露(かろ)かにっこ館」の担当者。同館では、昨年の初セリで200万円で落札され「競りで落札された最も高額なカニ」としてギネス世界記録に認定されたカニがいる。500万円のカニと同じ「かねまさ・浜下商店」が落札し、その後、県に寄贈され、同館で生きたまま展示されている。
試験操業で捕獲されたズワイガニが1つの水槽に約30匹入っているのに対し、200万円のカニは1匹で水槽を占有する“VIP”扱い。人が近づいてもほとんど身動きしない堂々とした態度は職員から「チャンピオン」と呼ばれている。
タフさも王者だ。同館によると、捕獲されたカニが人工飼育で一年以上生存するのは極めて珍しい。開館当初からカニの飼育を担当する丸山将士さん(44)も「捕獲されたカニはダメージが大きく人工飼育は難しい」と打ち明ける。
「200万円のカニ」も同館に来た直後はしばらく食欲がなかったが、施設改修で2週間休館したのを境に変化がみられた。「休館中は館内が真っ暗な状態。それからエサを食べるようになり、安定して飼えるようになった」と丸山さん。現在も水温を3度に設定するなど深海に近い環境で大事に育てられている。
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