“イカ不漁”乱獲と猛暑の影響…前代未聞の漁獲量に漁師が絶望
去る9月29日に山口県萩市で予定されていた『須佐 男命いか祭り』が中止となった。その理由は“イカの不漁”だ。
「昼食や販売に必要なイカ約300キロの確保の見通しが立たず、中止が決まりました。祭りの中止は、1999年に祭りが始まってから初めてで、大人気イベントだっただけに関係者は落胆しています」(山口県の水産加工業者)
同イベント会場の須佐漁港では、土日に開催されるブランドケンサキイカ『須佐男命(みこと)いか』の直売市も8月から中止が続いている。長年イカ漁をしている地元漁師からは「ここまでイカが取れないのは異常です」と悲鳴が上がっている。
山口だけでなく、イカの不漁は日本海全域に広がっている。“イカの街”といわれている北海道・函館市では、昨年の漁獲量に対して、今年は10分の1程度。函館水産試験場は、過去5年の平均を下回ると予想している。
ただ、そもそもイカ不漁は、今年だけではない。
「2010年に20万トンあったスルメイカの漁獲量は、17年には6万4000トン、18年に過去最低となる4万6000トンを記録しています」(水産庁関係者)
理由は北朝鮮の乱獲だ。
「16年ごろから日本海で、イカ漁目的とみられる北朝鮮漁船の違法操業が急増しています。海上保安庁と水産庁が警告した漁船は、延べ8000隻超え。今年も6月中旬に北朝鮮の漁船とみられる船が日本海に318隻確認されていて、海上保安庁から退去警告受けています」(同・関係者)
乱獲に加えて、今年は記録的な猛暑の影響で海水温が上がり、イカが育たなかったこともイカ不漁を加速させた。
「北海道近海では、水温が例年より3度から5度も高い状態が続いていることが確認されています。そのためか7月以降、北朝鮮の漁船も激減している。今年はイカが全然取れないから、諦めたんでしょう」(同)
不漁の影響でイカの卸値は通常の3倍に高騰している。庶民にとっては消費税増税とダブルパンチになりそうだ。
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