高級魚トラフグの産卵が東京湾で初めて確認されたと、県水産技術センター（三浦市）が発表した。県の海域では近年、トラフグの漁獲量が増えているといい、担当者は「県が漁業者らと共に取り組んできた稚魚放流の成果が出ている可能性が高い」とみている。

　センターは、産卵期の三〜四月にトラフグがよく釣れるとの情報があった横須賀市久里浜沖で、二〇一七年四月から調査を実施。昨年四月、採集した泥の中の卵四十六粒をＤＮＡ鑑定したところ、十八粒がトラフグのものと判明した。

　県内の漁業者などは〇四年、トラフグの資源量増加を目指し、稚魚の放流を開始。結果、県内での漁獲量は〇八年に初めて二トンを突破し、一七年には四・四トンまで増えた。

　センターによると、トラフグの産卵場には潮の流れが良く、水深数十メートルの小石混じりの海底が適しており、東京湾口部などが当てはまる。担当者は「県の新たな特産魚になってほしいとの期待は、関係者間で高まっている。引き続き漁業者と連携し、どうすれば増やせるかなどを研究する」と話した。　（福田真悟）