一匹10万円以上も! 超高級な幻の鮭とは? 国内でのサーモン養殖の最大の敵は?
皆さんはお寿司の中で一番好きなネタは何ですか? マルハニチロの調査によると、回転寿司のネタの中での一番人気は、10年連続でサーモンとのことで、くら寿司でも常時いろんな種類のサーモンのお寿司を販売しています。 |
皆さんもご存じの通り、サーモンは回転寿司特有のネタです。職人さんが握るお寿司屋さんでは、間違っても「サーモンお願いします!」と頼むことのないよう気をつけてください。
このみんな大好きな「サーモン(鮭)」ですが、細かく見るといろんな種類があるのをご存じでしょうか?
日本で鮭といえば、秋に北海道で故郷の川に産卵のために戻ってくる鮭が有名ですよね。北海道の川をのぼる鮭は、ほとんどがシロザケという種類。スーパーなどで売られている切り身や、お正月の新巻鮭はほとんどがこのシロザケです。また、同じシロザケでも、「時不知(ときしらず)」や「鮭児(けいじ)」などと違った名前で呼ばれるものもあります。
「時不知」や「鮭児」は日本ではなく、ロシアのアムール川で生まれたシロザケです。餌を求めて北海道近海まで南下してきたものです。日本生まれの鮭が秋の産卵前にとれるのに対して、初夏に北海道の沿岸でとれるロシア生まれのシロザケを「時不知」と呼びます。
そしてこの「時不知」は、まだ産卵を控えているわけではないので、卵や精巣に栄養分を奪われていません。身の脂のりがよく非常に美味です。なかでも、マグロの大トロにあたる「ハラミ」は最高の脂のりで、通常のシロザケの数倍の価格で取引されています。
一方、同じアムール川生まれのシロザケの中でも、11月頃に北海道のオホーツク海でまれにとれるのが、「鮭児」です。一万匹に1匹か2匹程度しかとれないと言われる、まさに幻のシロザケで、一匹10万円以上で販売されることもあります。
「鮭児」は読んで字のごとく、まだ若いシロザケで、全身に渡って非常に脂のりがいいのが特徴です。通常のシロザケの脂肪分が、高くても10%程度なのに対して、「鮭児」は20%から30%程度と、全身がトロ状態なんです。
こうした天然の「鮭」に対して、回転寿司で販売している「サーモン」は、主にノルウェーやチリなどで養殖されたものです。
種類としては、「アトランティックサーモン」と「トラウトサーモン」の2種類に分けられます。どちらもしっかりと脂がのっていて、魚特有のクセも少なく甘みがあるところから、生魚が苦手な女性やお子さまにも人気なんです。
「アトランティックサーモン」は北大西洋に生息する魚種。「トラウトサーモン」は、元々淡水魚である「ニジマス(トラウト)」を海水の中で養殖したものです。現在国内で流通している「サーモン」は、ノルウェーやチリで養殖されたものが多いようです。
回転寿司で一番人気のサーモン。国内での養殖がもっと盛んになれば、遠く北欧や南米から運んでくるのに比べて、冷凍していない生のサーモンを、リーズナブルに楽しんでいただくことができます。
ところが、サーモンは18度以上の水温では生きられません。夏には20度以上になる日本の近海では、半年以上は育てられないんです。
そこで目をつけたのが、淡水魚の「ニジマス」です。ニジマスを一定の大きさになるまで陸上(淡水)で育て、最後の半年だけ、冷たい海の中で育てることで「トラウトサーモン」にする。そんな国産のサーモン養殖の試みが日本各地で行われています。
福井県もそのひとつ。日本海の冷たい海と冬でも比較的穏やかな若狭湾の地形を生かして、「ふくいサーモン」の養殖に取り組んでいます。6年目の水揚げとなる今年は、歩留まりもよくなり、魚体もこれまでになく大きく育っているとのことです。
上品な甘さの脂と芳醇なうまみ、そしてなんとも言えないもっちりとした肉質の、「ふくいサーモン」をこの機会に味わってみてはいかがでしょうか。冷凍しない「生」ならではのおいしさに、きっと感動されることと思います。
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