鳥羽のカキ、3季連続大量死か 初水揚げの5割超、肩落とす業者
カキ養殖が盛んな三重県鳥羽市浦村町で9月30日、初出荷があった。「身入りが良く、おいしい」というが、水揚げしたカキの多くが口を開け死んでいた。養殖業者によると、5~7割が死んでいるといい、3季連続の大量死となりそう。市水産研究所は「何が原因なのか、分からない」としている。養殖業者は「シーズンの始まりはうれしいものだが、コロナ禍に加え、3季も大量死が続くと気が重い」と肩を落とした。
◇「コロナに加え、気が重い」
同町の生浦(おおのうら)湾でいかだ70台を浮かべカキを養殖する吉川正澄さん(76)は、「今朝、大きなかご1杯分を水揚げした。7割前後が死んでいるのでは」と推測する。「7、8月ごろ、カキの生育に伴い、いかだは徐々に沈んでいくはずだが、一向に沈まなかった。その時に大量死があったのでは」と振り返る。
吉川さん方では例年、県内や関西、中京圏に出荷するほか、町内で経営するカキ料理店で消費する分も確保しなければならない。「やり繰りが大変」とため息をつく。「昨年は8割ほどが死んだが、今年はまだ7割。ちょっとは期待したい」と前を向いた。30日にむき身にしたカキは県内のスーパーマーケットへ出荷したという。
また10台のいかだでカキを養殖する事業者(42)は「5~6割が死んでいる」と明かす。この事業者は所有する食べ放題店で大半を消費しており、「何とかカキを確保し、22年4月末まで営業を続けたい」と話す言葉に悲壮感が漂う。
浦村町のカキ養殖は1930年ごろに始まった。「浦村かき組合」(57業者)によると、いかだ1250台で養殖し、殻付き換算で1シーズン3500~4000トンを出荷する。生産量は全国7位、県内生産の3分の2を占めるという。答志島の桃取町や安楽島町などでも養殖しており、鳥羽市全体では県内生産の9割に達する。4月末までがシーズンで、10月下旬にはカキの食べ放題店が同市内にオープンする。
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